ことのはのちから
たった一行で、人の心は動く。
「誰かの心を動かす」
「自分の心が動く」
多分そこには、むつかしい言い回しや秀逸な表現なんか必要ないのだ。
本当に大切なものは、目に見えない。
その意味を、今日改めて実感した気がする。
はい。
新海監督の作品が観たくて、借りてきた。
「言の葉の庭」
言の葉 って、綺麗なことばだな。
同じ作品を続けて観たのははじめてだった。
一回めに観た直後は、ここで終わり? って、正直すこし物足りなく感じてしまって。
ドラマ一本分にも満たない長さだったので、そのまま二回めに突入した。
空白が余韻を作り出す。
それはなんだか、「休符を演奏する」ということに似ている気がした。
雨の音や、電車の音。
時に包み込むように、時に突き放すように奏でられる旋律。
鳥や虫の鳴く声に、人間の話し声。
絶えず何かしらの音が流れていて、無音の瞬間の方が断然すくないのに、ふしぎな静けさがたちこめている映画だと思った。
六月。関東が梅雨入りしたあと。
軽やかなピアノの調べに乗せて、画面が次々と切り替わるシーンがすごく好きだった。
料理をしているときや鉛筆を走らせているときの、秋月くんの手元も。
空が怒り狂ったみたいな大雨に閉じ込められて、まるで世界に二人しかいないような場面も。
テーブルにお皿を置いたときの こと、というあたたかな音も。
きれいな余韻を残して終わる。
詰めていた息を、ふっと吐き出したくなるような。
とても好きな映画でした。
" 世界の秘密そのものみたいに、彼女は見える。"
なんだか「耳をすませば」に重なるものがあったな。
ひさしぶりに観ようかな。