わたしらしさに彩りを。

日々のよしなしごとを綴ります。食べることとaikoと言葉をこよなく愛する女子大生。

うしなう、はじまる


最近読んだ本たち。


「かわいそうだね?」 綿矢りさ
「君がいない夜のごはん」 穂村弘
世界から猫が消えたなら川村元気
眠れる美女川端康成


普段読まない作家を意識して適当に借りてみたのだけれど、わりとどれもおもしろかったので嬉しかった。

 

特に「君がいない夜のごはん」はめっちゃくちゃおもしろかったです。わたしがいちばん好きなジャンル、" 食べ物エッセイ " の極み。

歌人である作者が、料理雑誌に連載していた文章をまとめた本らしい。
リズミカルな文体に、思わずにやりとしてしまう表現、登場するたべものたちが鮮やかに浮かんでくるような描写がすごく好き。

とっても読みやすいのでオススメします! 手元に置いて、毎日寝る前とかに読みたい本。

 


世界から猫が消えたなら

映画プロデューサーの川村元気さんが初めて書いた本だそう。
同名の映画の原作です。

話も良かったけれど、主人公の母親がよく口にしていた言葉が特に印象に残っている。


" 何かを得るためには、何かを失わなくちゃね "


ほんとうにそうだと思った。

少数の器用な人を除けば、対価なしに欲しいものを手に入れるのはとても難しい。

 

失ってまで、欲しいもの。
失うことで、手に入るもの。


たとえば、

個性を体現化したら万人受けはできないだろうし、
恋人同士になりたければ、居心地の良い関係を捨てることになるかもしれない。
お金を稼ぐには自分の時間と労力を売らないといけないし、夢を追いかければ安定は遠のいてゆくかもしれない。


でも。
それでも、手に入れたいものがあるのなら。


と、考えさせられた。


一見当たり前のことみたいだけど、その基準は多分人によって全く違う。

得るために失うものって。
欲しいからこそ手放すものって。

 


ぜんぜん関係のない話だが、小学校で「失」という漢字を習った時に、父と交わした会話をふと思い出した。


小4のわたし 『「失」って、「矢」とほとんど一緒やのになんでこんなに習うの遅いん? 「矢」は一年生で習うのに』

父 『一年生に「失う」の意味がわかるか? 漢字の簡単さだけで決まるんじゃないんやで」


なるほど。確かに一年生にはわからへん。

 


うしなう。

そこからはじまる。

 

 


いま手元にあって読みかけてるのは、

グラスホッパー伊坂幸太郎
「ふたりの季節」 小池真理子

です。

 

まだまだ読書の秋を謳歌するぞ。