ときめきメイクアップ
女の子で良かったなあ、と感じる瞬間。
それは、結構な頻度でわたしの元へ訪れる。
ふんわり広がるワンピースや、見ているだけで体温があがるような、素敵なドレス。きらびやかな振袖だって、女の子だけの特権だ。
髪の毛をくるんとカールさせるとテンションもあがるし、そこにかわいいリボンや髪飾りをつけちゃうことだってできるのだ。
それから、メイク。
一週間の半分くらいは、めんどくさいなあと思ってしまうのが本音ではあるけれど。笑
やっぱり本当は、すごく楽しくって嬉しいものである。
お化粧品に詳しいわけではないし、ましてや整った顔立ちをしているわけでもない。
それでも、鏡に映る自分の顔がすこしずつ変わっていくのを見ていると、未だにちょっとどきどきしてしまうのだ。
あかるくなった肌のトーンに、ほんのりにじませた桃色と、だいすきな赤色と。
ちょっとだけ理想の自分に近づけた気がしてほころんだ、くちびるの上にも色をのせる。
メイクを始めたのは多分遅い方で、高校3年生の春休みからだった。
それまでは、せいぜいデートの時にリップをつけるくらい。しかし大学入学を目前に控え、そろそろやばいと一念発起したのである。
初めて入ったコスメショップ(でいいのだろうか)のお姉さんに手取り足取り教えてもらい、しばらくはそこの商品とやり方をかたくなに貫いていた。
だが、いつまでもそうする必要性は全くないのだということにある時はたと気付き、それからは他のお店のコスメも見るようになったのである。
なんてかわいいんだろう。
なんで素敵なんだろう。
幼い頃にあこがれていた、魔法のコンパクトみたいなファンデーションがある。お花の模様が入ったパウダーチークがある。お姫さまみたいなデザインの口紅がある。
こんなものを持つことができるなんて! という、単純な喜び。わたしは人一倍大げさなのかもしれないけれど、でも、やっぱり女の子なら誰だって嬉しくなってしまうだろう。
ハタチのお祝いに、と、今年の誕生日には素敵なコスメを二つももらった。毎日眺めていても飽きないくらい、かわいい。パッケージも、発色も素敵。
わたしに合うと思って。そう添えられた言葉が、つけるたびによみがえる。
『 女の子って本当に楽しい!』