わたしらしさに彩りを。

日々のよしなしごとを綴ります。食べることとaikoと言葉をこよなく愛する女子大生。

型破りバレンタインの話。

 

小学生の頃、よく物語を書いていた。


読むだけでは飽き足らず、好きな本をノートに写したりするうち、
自分でも物語を作りはじめたのである。

 

はじめて書いたのは多分小学2年生ごろで、

読み始めた「ちゃお」の見よう見まねで恋愛ものを書いてみたり、
(「道端で出会った二人はそのまま、長いこと抱き合っていました」っていう一文、今でも覚えてるわ。どういう状況やねん。笑
ませてるわりにどうしていいかよくわからんかったんやろな。)

家族が旅行に出かけてる間に
その家で飼われてる動物みんなで家出する話とか、

主人公の友達が死んじゃった話とか書いてた。笑


一回だけ文学賞の一次審査を通過したことがあるけど
ほとんどはただノートに書きつけているだけのもの。

思いつくたび勢いよく書き出すはいいものの
たいていすぐに飽きてしまい、ぱたりと途中でやめてしまっていた。

次の話を思いついては書き出し、途中でやめてのくり返し。

 

そんなわたしだったのだが、文学賞に応募した以外に
なんとかがんばって物語を完成させたことがある。

 

あれは、小学6年生の時のバレンタイン。


その時、わたしには好きな男の子がいた。

バレンタインデーに、チョコレートを渡したい。
でも、告白するのは絶対に無理だと思っていた。


そこでわたしは、自分の物語をその子に読んでもらうことを思いついたのだ。

そして、読んでもらったお礼としてチョコを渡そう。
そう決意した。

 

一体全体、どんな思考回路をもってして
その結論に至ったのやら。


そんなん、普通に告白するより
よ……っっっぽど恥ずかしいわ。

と、今なら冷静にわかる。
当時のわたしは何を血迷ったのだろうか。

 

まあともかく、そういうわけで物語を書き上げようと決めたのだった。


絶対、バレンタインまでに完成させる。

その決意は固かった。


鉛筆を握り、食らいつくようにノートに向かった。
物語と向き合い、懸命に言葉を紡ぐ毎日を過ごした。

でも、しんどかった記憶はない。
悩んだこともあったのだろうが、書くのはとにかく楽しかった。

一番仲のいい友達にだけバレンタイン物語作戦を話していたのだけど、
その子がいつも真剣に相談に乗ってくれていたことも
大きかったのだと思う。


今やっていることが正しいかどうかなんて、
多分考えていなかったのだ。

今でこそ一笑に付すことができるけど、
その時はばかみたいに真剣でまっすぐだったから。

猪突猛進型の人間が必死になると、
良くも悪くも、周りが見えなくなるのである。

今でもそうかもしれんけど、、

 

そして迎えたバレンタイン当日。


わたしは作戦通り、無事完成した物語とともに
お礼という名目でお菓子を渡すことができたのである。めでたし。

 


不意に思い出したこのエピソードはともかく、


結局大事なのって根性なんかなあ、なんて

ふと思ったりしたのです。


才能とかじゃなく。

どれだけ愛せるか、
どこまでがんばれるか、
どのくらい楽しいって思えるか。


すぐ言い訳してしまう今の自分にちょっと嫌気がさして、
12歳のわたしに笑われた気がした。


と同時に、奮い立たせられた。


なんかやりたい、ってその「なんか」をやるなら
どう考えても今だと思った。


形にしないと始まらないこともある。

 

いつのまにか、わたしもすっかり大学生らしくなってしまったなあと思う。

良くも悪くも。