映画を観る ということ
映画館で映画を観たあと、世界の色が違って見えることがとても多い。
見慣れた景色にどきどきしたり、はじめてなのになつかしい気持ちに出逢ったりするのだ。
感情をうまくまとめきれずに、ぼうっとしたまま劇場を出る。すると、たいてい外の世界は嘘みたいにあかるくてまぶしい。
現実と物語のはざまを行きつ戻りつしながら、ゆっくりゆっくりと余韻を噛み締める。
映画が終わったあとに、余韻に浸るための時間を設けてほしい、なんて考えたりする。劇場は暗くしたままで、誰も席を立ったりおしゃべりをしない空間で。
心ゆくまで物語を回想し、登場人物に想いを馳せる時間があったらどんなにいいだろう。
と、偉そうなことを書いたわりに、決して頻繁に通っているわけではない。せいぜい年に2.3回、その程度だ。
最近足を運ぶ機会が多かったので、色濃く実感した次第である。
話題作を立て続けに。
劇場ならではの迫力と、サウンドの疾走感がたまらなかった。再びあの快感を味わいたいがために、もう一度観に行きたい「君の名は」。
世界観がとても綺麗で、せつないけれどあたたかい気持ちになれた。優しさの中に、人間の強さが垣間見えた「聲の形」。
むき出しになった人間の感情と、行き場のない絶望を肌で感じた「怒り」。心にずしんと響く作品であった。
日常を離れ、頭をからっぽにして物語の世界に没頭できる数時間。贅沢なことだなあと思う。
これもまた自己投資。大切にしていきたいものである。