わたしらしさに彩りを。

日々のよしなしごとを綴ります。食べることとaikoと言葉をこよなく愛する女子大生。

そんな日もある。

 

自他ともに認める、絶望的な方向音痴である。


目的地は行き慣れている界隈のど真ん中、
自宅から自転車で15分もかからない場所である。

さすがに行けるだろうとは思ったが、地理に関してどれだけ自分が信頼できないかは自分が一番よく知っている。


というわけで、

絶大な信頼を寄せているGoogleマップと首っぴきで自転車を漕ぎ出した。

 


ここ京都で暮らして、2年が過ぎた。


さすがにわかる。

家を出て右と左どっちに曲がればいいのか、
街に出るには大体どの方向に進めばいいのか、私にはもうわかるのである。

と、それだけで誇らしくなってしまうあたり、
自分がどれだけ無能か露呈してるようなもんである。

 

今日も今日とて、
よし右に曲がってバイトに行くのと同じ道を進めばいいのね、ということは地図を見ただけでわかった。

わかるぞ私、すごい、と思っていた。


とはいえ数えきれないほど道に迷った過去があるため、ちょっと進むとすぐ不安になってしまう。

 

するとどういうことが起こるかというと、

Googleマップの示す道を忠実に守ることに必死になり、目的地を完全に見失うのである。

 

はたと気づくと、自分がどこにいるのかわからない。


お店の予約時間はもう過ぎている。

耐え難い屈辱を感じながら「すみません、道に迷ったので遅れます…」というメッセージを送信した。

 

信号が青になったが、渡るべきなのかわからない。

横断歩道を目の前にして、懸命に携帯をくるくる回す(マップに表示された矢印の向きを確かめる)私を怪訝な目で見ながら、人々は通り過ぎてゆく。

 

途端、私の混乱が伝染したかのようにむちゃくちゃな方向を指し示し出すGoogleマップ


いや勘弁してよ………!

あなただけを頼りにここまでやってきたんやで!?


と、パニックになりかけて必死であたりを見渡すと、

なんてことはない、いつも通っている交差点の目の前なのである。

 

はい。


よしわかった、もう大丈夫!と思いつつも、やはり頭は依然動揺していたのであろう。

 


気を取り直して進みだしたその直後、


歩道わきのポールと乗降中のバスに挟まれ、にっちもさっちもいかなくなっておろおろしてしまい、
バスの運転手さんに「そこの自転車ちょっと離れてください」とマイクで言われるわ、


さらに輪をかけておろおろしながら自転車を押して進もうとすると、
警備のおっちゃんに「この通りは自転車通行禁止ですよ」と冷ややかに言われるわ。


いや知ってる、ここ自転車通ったあかんのめっちゃ知ってるし悪気なんて一ミリもなくて、ただ目的地にたどり着くのに必死でGoogleマップさんの指す方向を進んだらこの通りに出てしまったんです……!


って思ったけど、
どうみても100パーセント私が悪いのは明白なので「すみません」と小声で謝ってすり抜けた。

もう穴があったら飛び込みたかった。

 

まあなんとか目的地には無事辿り着き、

めっちゃ知ってる界隈だったので
帰りは余裕ですいすい行けて。


(いやー、はじめは来た道を帰ることすらままならんかったのになあ。
地図見んでも帰れるって、やっぱ成長してるわ私)


なんて頭の中でほざきながら、授業を受けるため大学へ。

 


英語の授業でした。

はじめの30分くらいでドキュメンタリーちっくな映画を見るんですが、

 

ねむい…………

あかんねむい…………


で、気づいたら寝てて。

 

端っこから順番に当たってく授業なんですが、

今日私の列が当たる日で。

 

やばい、すっかり忘れてたしいっこも予習してへん…と焦ってテキストを開き、


急いで単語を調べようと電子辞書を開いたら、

「電池がありません 交換してください」

 

うーわ、まじか。

 

映画みてたらある程度内容わかってたはずやのに、
のんきに寝てた自分を心底呪った。

 


寝ぼけた頭を必死で叩き起こそうとするも、


あかん、もうすぐ当たるやばい……!

ていう焦りで全然働かへん。

 

「はい、じゃあ次」

 

きた………無理やねんけど。

 

案の定、めっちゃ簡単なはずの英文に対してとんちんかんな回答を繰り広げ、


「そんなこと、どこに書いてるの?」と、
100名弱の受講生の前ですぱんと切り落とす無情な先生。

 

いや、予習と辞書の電池交換も忘れたうえ、すやすや寝てた自分が100パーセント悪いねんけどな。

まあ穴があったら飛び込みたかった(本日2回目)。

 

 

あーーー、
なんか今日もうあかん日な気がする。

(「自業自得」の4文字が頭にちらついたのは言うまでもない)

 

そういえばまだごはんを食べていなかったので、

よし、お気に入りのパン屋さんでパン買って帰ろう!
と気を取り直し、学校をあとにした。

 

パン屋さんに到着し、

散々まよっておかずパンを選んだあと、
ふと目に留まったのはクリームパン。


普段まず選ばないのだが、今日はなんだか無性にカスタードが食べたくなった。

 

よし、君に決めたぞクリームパン。


さっきまでの憂鬱はどこへやら、
いい匂いのパンたちを手に、るんるんで帰路に着いた。

 


お惣菜パンをすいすいとたいらげ、

お次はお待ちかねのクリームパン。

 

一口かじると、想像以上に生地がもっちりとしている。

ふわふわを想像していたので、
「もちもち食感」を愛してやまない私にとって、これは嬉しい誤算だった。


きめ細やかな断面。
これにとろんとしたカスタードクリームなんて…!

と、想像するだけで気持ちが高ぶった。

 


まだかな、


まだかな、カスタード。

 


…おかしい。


三分の一以上たべたのに、依然カスタードが顔を見せないのだ。

 

 

これは、


もしや、

 

と、嫌な予感に駆られながら

おそるおそる、パンを手で半分に割る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まっしろ!!!!!

 

うそやん!

カスタードのかけらも見当たらない!!!

 


きめ細やかなもっちり生地が、

どこまでもまっしろに続いていた。

 


呆然とする反面、

やっぱりね。なんか、そんな気はしてた。

 


クリームなしのクリームパンに幸あれ。


ああ、明日はいい日になりますように。